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ツボは「筆耕係」

 映画「THE有頂天ホテル」を見た。
 三谷イズム炸裂の、豪華キャストてんこ盛り(こんなベタ表現が実によく似合う)作品である。
 とにかく役者の使い方が贅沢。主役の役所広司を筆頭に、大河ドラマの主役経験者が4人(厳密に言うと5人、役所さんは違うよ)名を連ね、「古畑任三郎」や「新選組!」など三谷作品ではおなじみの面々がこれでもかというぐらいに登場してくる。
 これだけオールスターキャストがそろうと、概して個々の役者の出番はほんのさわり程度とか、単なるサービスカットの寄せ集めになりがちなのだが、この作品ではそんな手抜きを一切許さない。香取慎吾のギターに合わせて西田敏行が裸で踊るシーンや、角野卓造が半狂乱状態で携帯電話を踏みつぶす場面などはもう見事というしかない。ただ金をかけただけのどこかのヤマトとかいうのとは比較にならない。
 また、佐藤浩市が香取慎吾を抱きしめるところとか、佐藤がドアマン姿に扮してが相良一之と絡むシーンなどは、「新選組!」ファンの心をくすぐる。
 中でも感心したのは、筆耕係のオダギリジョー。まず、ホテルに「筆耕係」という身分があることを知っている人がどれほどいるだろう。結婚式の招待状や、宴会場などのとば口に立っている看板などの筆書きを手がけているのだが、おそらく映画やドラマにこの職業が出てくるのはこの作品が史上初だろう。三谷幸喜の執拗なまでの細かい取材のたまものだ。
 オダギリの演技も、意外といっては失礼だが、実にはまっていた。「新選組!」では少ないせりふでクールな役どころの斉藤一を演じたのとは対照的に、今回は職人はだしのまじめで陰気な小心者。今後も三枚目に挑戦して欲しいところだ。

 全編2時間20分と、邦画(特に喜劇)としては異例の長さだが、そんな感じはみじんもさせない軽快なテンポで話は進んでいく。ただ、「あれ?このシーンどういう展開だったんだっけ」とついて行くのに必死な箇所もないではない。もう一度確認したい、そんな気持ちを巧妙に引き出す、にくい作りもかいま見える映画だった。

THE有頂天ホテル

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ADAKEN

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